フィリピンの語学学校に蔓延する「海賊版教材問題」

フィリピン留学で一般的に使用されている海賊版教材
フィリピンの多くの語学学校で「正規の教材」ではなく、「白黒コピーの海賊版教材」が使用されています。日本では考えられない異常事態ですが、これが2018年になった今でも継続しているフィリピン留学の大きな問題です。
サウスピークに転校してきた学生(20代前半、男性)
「日本人は1冊300ペソ(約800円)の海賊版教材がどれだけひどいか知らないんですよ…」
フィリピンにあるほとんどの語学学校では、正規の教材ではなく「韓国人向けに作られた教材」や「その海賊版(違法に白黒コピーされた教材)」が多く使用されています。この韓国人向けの海賊版教材で学習に取組もうとすると、3つの問題に直面します。
◆海賊版教材の問題点1 初級者が英語の説明文を理解出来ない
韓国人向けの海賊版教科書は当然ですが、韓国人向けの教材です。そして解説・説明文は英語で書かれています。中には韓国語で書かれているものすら有ります。英文法を理解していない初心者の方は、このような韓国人向け教材の内容をほとんど理解できないため、教材をまともに使いこなせません。
特に韓国語で書かれた教材に関しては、日本人が読むことは全く出来ません。しかしながら、2018年で未だにこのような教材を日本人に使用させている韓国系語学学校は珍しく有りません。韓国系語学学校だけでなく、この海賊版教材は日本人経営の語学学校でも使用されているケースもあります。

フィリピンの多くの語学学校で使用されている英語で書かれた教材。日本語の解説はありません。
「日本語訳がない」「日本語の解説がない」、そのような海賊版教材に嫌気がさして語学学校サウスピークに転校してくる生徒は今も定期的にいます。彼らがサウスピークに転校してくるのは、「理解できない教材でこれ以上学びたくない」「訳がわからないままフィリピン留学を終えたくない」という切実な理由からです。
(参考記事)サウスピークの特徴1 日本で販売されている質の高い英語参考書を教材として使えます。
サウスピークで日本の教材が使える件についてはこちらの記事を確認ください。
英語で英文法を学ぶのは非効率的すぎるので止めた方が良い
英語で英文法を学ぶには「名詞(noun)」「動詞(verb)」「形容詞(adjective)」「補語(complement)」といった英文法の用語を”英語で”暗記しなくてはいけません。
例えば、以下の画像では “Gerunds”と”Infinitive”の違いについて解説されていますが、これが何のことか理解できますか。これは日本の学校だったら中学2年生で学ぶ内容ですので、日本語であれば簡単に理解出来る内容です。
“Gerunds” ⇒ 動名詞
“Infinitive” ⇒ 不定詞
です。みなさんは理解出来ましたか。
別にこれは理解出来なくても恥ずかしいことでは有りません。実はTOEIC LR試験で900点を獲得する人でも、こういった英文法の英語表現を知らない人が大多数です。逆に言えば、語学学校の中でしか使わない品詞の英語表現を覚える時間は無駄だと言えます。
また、多くの海賊版教材は白黒コピーの海賊版であるため、ところどころ文字が潰れて読み取れないことが有ります。白黒コピーだから写真が潰れて判別できないということも頻繁に起きています。
笑い話と言っていいのかどうかは分かりませんが、「色」に関するレッスンページが白黒コピーだったため、授業が成立しなかったという話が有りました。「YellowやRedと書かれているけれど、灰色にしか見えない。」という、日本だったらありえないレベルの話です。
◆海賊版教材の問題点2 白黒コピーの海賊版でリスニング音源は付いていない
なにより問題なのはこれら海賊版教材にはリスニング音源が付いていないことです。リスニング音源のない教材でどうやって「英語の正しい音」を学ぶのでしょうか。そして、リスニング音源がなければ満足に予習・復習を行う事は出来ません。
リスニング音源がなければ、「英語の正しい音」を確認できるのは1日数回の「マンツーマンレッスンの時間だけ」になります。リスニング音源が付いていない教材で学習すると、英語の音に慣れ親しむ時間が圧倒的に少なくなります。
事実として、フィリピン人の話す英語は、基本となるのは「アメリカ英語」ですが、「独特の表現」や「特有の訛り」があるケースもあります。このフィリピン人講師の「英語の訛り」について気にする方が一定数いらっしゃいますので、サウスピークではどのように対応しているかをお答えします。
まず、サウスピークでは基本的にリスニング音源の付属している英語参考書を採用しています。プロのナレーターが読み上げたリスニング音源付き教材を導入することで、生徒は「アメリカ英語の標準形」を学ぶことができ、フィリピン人講師も「アメリカ英語の標準形」を基準にレッスンを行うことができます。
サウスピークに留学した生徒は、毎日2.5時間、アメリカ英語の音源を聴きながらリスニング学習を行っています。そして、さらに2.5時間をリンスニング音源を模倣する「音読学習」に費やしています。これによって、毎日5時間アメリカ英語に触れることで、アメリカ英語を基準に英語を習得することができます。

サウスピーク留学中の女生徒。移動時間中もリスニング学習をすることが推奨されています
日本語教材を導入していることで、フィリピン講師側も、アメリカ英語を標準に教える必要が有ります。そのため、サウスピークではフィリピン人講師の英語の訛りを気にする事例は存在しません。
一方、リスニング音源付きの教材を導入していない語学学校は、「アメリカ英語」という”基準”がない状態だと言えます。標準がないために「フィリピン特有の表現」で教わったり、「訛りの激しい講師」とのマンツーマンレッスンを受けたりすることになってしまいます。
リスニング音源付きの教材を導入している語学学校であるサウスピークは、アメリカ英語を学ぶのに適した場所です。
生徒だけでなく、フィリピン人講師の英語力も上がっていっている
余談ですが、サウスピークでは高品質な日本の英語参考書をレッスンで使用しているため、レッスンを担当している講師の英語力も上がっています。サウスピークで採用している難関教材の1つとして「実践ビジネス英語」の教材が有ります。「実践ビジネス英語」は、普通のアメリカ人にとってさえ難しい、教養あるアメリカ人達の英会話集です。
フィリピン人講師たちもこういった教材を通じて、日本人生徒とのレッスンを通じて、日々専門職として英語力を高めています。
一方、質が低い海賊版教材を使っている語学学校ではどうでしょうか。フィリピン人講師達もマンツーマンレッスン中に英語力を高めることが出来ません。
そのため、4年間日本人経営の語学学校で働いていたけれど、TOEIC LR試験では700点くらい、というフィリピン人講師も存在します。過去にサウスピークに応募してきた他の英会話学校に所属していた求職希望者達の筆記試験結果を見ると、その事実が分かります。
残念な海賊版教材は生徒だけでなく、フィリピン人講師たちにとっても大きなマイナスの影響を与えています。
◆海賊版教材の問題点3 そもそも教材としての質が低い
日本では毎年新しい優れた参考書が出版されています。それに対して、フィリピン留学で使われる英語参考書はずっと変わっていません。フィリピン留学で使われる代表的な海賊版教材としては「Side by Side」「Talk Talk Talk」「Express Ways」「Impact Issue」などがあります。これら教材は何年経っても使われ続けています。
一方、サウスピークでは日本で販売されている英語参考書を採用し、2ヶ月に1度は使用する学習教材の内容を見直しを行っています。生徒からのフィードバック、また新たな英語学習が出版されるなどで、日々学習カリキュラムは変わり続けています。

サウスピークでは定期的に教材の見直しを行っています。
2016年から新形式となったTOEIC LR試験にもいち早く対応しました。また、TOEFL, IELTS, 英検といった試験に対応している教材に関しても定期的に見直しを行っております。

2018年9月時点の最新 TOEIC LR試験 公式教材。サウスピークでは常に最新教材への更新を行っています。
日本で販売されている英語参考書は進歩し続けています。また「マンツーマンレッスン」という従来の独学主体の学習とは学習の仕方そのものが違うので、いくらでも改良の余地を見つけることが出来ます。だから何年も同じ教材ばかりを使い続けているというのは、英語教育について真摯に向き合っている者からすると信じられないことです。
他にも出処不明の英語参考書は多く使われています。出所不明の参考書でよくあるのが、先述した英語参考書を解体して、適当に組み合わせて新たに1冊の参考書にする手法です。こういった参考書を「当校の独自教材」として扱っている語学学校は数多く有ります。
なお教材費を比較すると、日本で販売されている普通の英語参考書を使用しているサウスピークの場合だと、例えば「TOEIC LR試験で500点台、13週間の留学、TOEIC LR試験の点数向上と英語面接・英文履歴書対策を希望する」生徒を考えてみると、教材の冊数は通常15-20冊で、教材費用は約30,000-40,000円になります。市販正規版の教材を使用すると、これくらいの値段になります。
一方、海賊版教材を使用した場合はこの教材費をすでに紹介したように、1冊500円から1,000円に抑えることが可能です。中には教材費を「無料」にしている語学学校すらも有ります。教材費無料の語学学校の教材がどのようなものかは、想像するだけで気分が悪くなります。
ゴミ情報を入力したら、ゴミ情報しか出力できない
ここでコンピューターの世界の用語でGiGoという言葉が有るので紹介します。
GiGo⇒ Garbage in Garbage out
(ゴミ情報を入力したら、ゴミ情報しか出力できない)
断言しますが、英語学習において最重要要素の1つである学習教材をいい加減に扱っている語学学校、教材費をケチって海賊版教材を使用している語学学校で英語力が伸びるわけが有りません。ゴミ教材で学んで、まともな成果を納めることは出来ません。
韓国人向けの海賊版教材の問題点 まとめ
韓国人向けの海賊版教材の問題点
問題1…初心者が英語の説明文を理解出来ない
問題2…白黒コピーの海賊版でリスニング音源は付いていない
問題3…そもそも教材としての質が低い
これら3つの理由から、フィリピンにある多くの語学学校で採用されている韓国人向け海賊版教材の質は低いと言えます。教材の質が低いために、日本に帰国してからもそれらの教材を使用し続ける人は極めて稀です。たいていの留学生は留学終了時に校舎に捨てていってしまいます。言い換えると、捨ててしまっても後悔しないくらいの残念教材であるということです。
「日本人向けのまともな教材が使われていない、それだけでなく海賊版を主に使っている」という信じられないくらいに低いレベルにあるのが2018年時点におけるフィリピン留学の無残な現状です。このようなひどい現状を見るに見かねて、サウスピークでは日本で販売されている正規版の英語参考書をどこの語学学校よりも先駆けて導入しました(2013年の開学当初から導入しています)。

サウスピークでは2013年開学当初から、日本の正規版参考書を使用しています。
この海賊版問題を2013年のサウスピーク開学当初からずっと情報発信をし続けたためか、最近は一部の語学学校では日本人向け英語参考書を採用する学校も増えてきました。
しかしながら、全てのマンツーマンレッスンで日本人向け英語参考書を使用できる語学学校は2018年時点でもサウスピークのみです。多くの語学学校では一部のレッスン、もしくは自習用教材として使用するだけです。
最後にもう1つ補足すると、今度は日本人向け英語参考書の海賊版が出回るようになってきました。現在セブ島ではDuo3.0や瞬間英作文の海賊版が出回っています。これもまたフィリピン留学業界の残念な話です。
フィリピン留学エージェントの言い分
【某留学エージェントのウェブサイトに掲載されていた文章です】
『海賊版教材を使用したら、日本だったら大問題です。ですが、ここはフィリピンです。
韓国系の語学学校は実際これで10年以上やってきてるし、別に取り締まりされているわけじゃありません。
郷に入れば郷に従えで、海外の常識に従いましょう。この程度のことは問題では有りません。』
というような発言をしているフィリピン留学エージェントがいましたが、全く理解出来ません。留学している生徒や教材を作成している著者達に対する思いやりや敬意がそこには有りません。あるのは自分たちの都合を押し付ける厚かましさだけです。
繰り返しになりますが、日本人スタッフや韓国人スタッフが自ら学習カリキュラムを作っている語学学校は非常に稀です。大多数の語学学校では、経営者や日本人・韓国人スタッフがあまり英語が出来ないため、英語が出来るフィリピン人講師たちに学習カリキュラムの作成を丸投げしています。
海賊版教材を使用しているのはフィリピン人スタッフに学習カリキュラム作成を丸投げしているためです。なぜ丸投げするかといえば、語学学校側のスタッフが満足に学習カリキュラムを作成出来ない能力不足が原因です。だから『郷に入っては郷に従え』というような意味不明な発言、フィリピン留学をする生徒が不利益を被る主張・押し付けについては、毅然とした態度で、本記事で書いた内容を今後も反論していきます。