「IoTはセキュリティ面で安全なのだろうか」と不安に感じていませんか?
IoTは身の回りのあらゆるモノがインターネットと接続することで、様々な価値を生み出す技術です。私たちの生活に徐々に浸透しています。
ですが「インターネットにつながる」ということは、パソコンと同様ウイルス感染や情報漏洩など、相応のリスクも存在ないとは言い切れません。
この記事では、IoTのセキュリティに関する知識を解説します。この記事は以下の内容で構成されています。
・IoTセキュリティについての基本知識
・IoT特有の危険性
・IoTデバイスが受ける被害
・IoTのセキュリティ対策
IoTのセキュリティ面におけるリスクと対策を理解していきましょう。
IoTセキュリティについての基本
そもそもIoTとは

IoTとは「Internet of Things」の頭文字を取ったもので、「モノのインターネット」を意味します。身の回りの「モノ」がインターネットと接続され、データの収集やスマートフォンからの操作などが可能になるのです。IoTが普及すれば、家電や車などが、「これまでとはまったく違う使われ方」をされるようになるでしょう。こういったインターネットと接続されたモノとIoT機器、あるはIoTデバイスと呼びます。
特定通信・放送開発事業実施円滑化法によると、IoTは「インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通」と定められています。
現在は住宅や家電、医療、農業などの分野で普及しつつあります。身近な例では、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど日常的に誰でも使用する家電がインターネットに接続され、状況や環境に適した稼働を行うことができます。
医療の分野では、バイタルデータを取得することで、病気の予防や適切な治療の選択につながります。このようにIoTは、私たちの暮らしや健康などに良い影響を与えるものになります。ですが、インターネットにつながるという特性上、安全に使用するためにはセキュリティの知識が欠かせません。
IoTの現状と将来性
IoTは世の中に急速に広まっています。IoTデバイスの数は2017年時点でも世界で約270億個でした。総務省の調査では、2020年には530億台にまで拡大すると予測されています。
IT分野の調査会社のIDC Japanは、2022年にはIoT市場全体の支出額が、2017年の5兆8160億円から、11兆7010億円まで達すると予測しています。
今後ますますIoTデバイスは増え続け、普段の生活に欠かせないものとなっていく場合、セキュリティ課題の解決の重要性は高まっていくでしょう。
インターネットとつながるということはパソコンなどと同様に、しっかりと対策をしなければなりません。実際にIoTを対象にした不正ウイルスの報告も多数上がっており、喫緊の課題であるとも言えます。
IoTの原則
IoTには「先セキュリティ、後の連結(Secure First、then Connect)」原則があります。まずはセキュリティの信頼性が担保され、そこからネットワークに接続する順番で開発を行うというものです
IoTの通信
IoTは主に4つの部分で通信が行われ、その全てで安全性のある通信を行う必要があります。まずはユーザー領域でデータ収集を行う「デバイス」、取得したデータをサーバーに送る部分である「IoTゲートウェイ」です。
特に「IoTゲートウェイ」はサーバーとのデータをやりとりする部分であるため、外部からの侵入によりデータが漏洩する可能性があります。また悪意のある操作によって、デバイスが意図しない動きをすることもあるかもしれません。データをやりとりするプロセスでは、全てのデータを暗号化した通信が必須となります。
IoTゲートウェイに送信されたデータは、サーバーへ送られます。その過程でもネットワークやデータベースへの攻撃の恐れがあるため、「サーバ」でのセキュリティ対策も重要です。全てのシステムを構築する「IoTインフラ」でも、高度なセキュリティ対策を行う必要があります。
IoT特有の危険性とは?

日常生活に支障が出る
IoTは日常生活で使うあらゆるモノがネットワークに接続されます。家電をはじめ住宅そのものにも適応可能です。周囲のデバイスがIoT化した生活で、もしIoTデバイスが攻撃を受けた場合、その被害はとても大きなものになります。また街のIoT化、スマートシティの場合、街の機能が遮断してしまい、社会全体に影響を及ぼすことも考えられるでしょう。
自分が被害者になっている意識がない
IoTデバイスは、一見普通のモノなので、インターネットに接続していることを意識する場面はほとんどありません。そのため、もし攻撃を受けた場合でも、動作に支障がなければ「攻撃されていることに気づかない」のです。また、攻撃を受けるリスクがあるということも、直感的に理解できません。そのため、対策を講じることを後回しにしたり、重要だとは思わなくなるのです。
被害が放置されやすい
IoTデバイスは攻撃されていることに気づきにくいため、被害が認識されず、長期的に放置されてしまいやすいです。ウイルスに感染しデータが漏洩している状態であるにも関わらず、そのまま使用してしまうことで、被害が拡大してしまうことも考えられます。
家電などのデバイスはそもそも長期的に使用するものなので、徹底した対策が必要であると言えるでしょう。
IoTデバイスが受ける被害

攻撃に利用される
IoTデバイス自体が悪意のある攻撃に利用される可能性があります。例えば迷惑メールの配信に悪用され、被害を拡散することも考えられるでしょう。実際にアメリカでは、IoTテレビと冷蔵庫が2週間で75万通の迷惑メールの拡散に利用された事例が報告されています。
情報漏洩
IoTデバイスは、利用者の様々なデータを取得しています。ヘルスケアで使用される端末などの情報が漏洩した場合、プライバシーが侵害されることもあります。また、監視カメラなどの端末では、カメラの映像を無関係な第三者に見られてしまうリスクもあります。
端末の遠隔操作
IoTデバイスは、スマートフォンや音声からの操作が可能です。例えばスピーカーに声をかけるだけで照明を点灯させたり、スマートフォンで鍵を開閉することもできます。もしもIoTデバイスが攻撃を受けた場合、こういった操作情報を第三者が知ることができたり、最悪の場合は遠隔から勝手に操作されてしまうこともあるでしょう。
人の命や安全に大きく関わることもあります。例えば自動運転自動車などでは、交通事故の重大なリスクとなります。実際に、自動車ローンの延滞でエンジンを停止させるなどの技術も可能となっており、ありえない話ではないと言えるでしょう。
IoTのセキュリティ対策

デバイスがインターネットにつながっていることを理解する
「IoTデバイスはネット端末である」という理解を徹底することは、非常に重要な対策になります。安全性が確実であるというわけではなく、パソコンのウイルス被害と同様のリスクがあります。特に情報に関するデバイスは攻撃の対象となりやすいです。まずはリスクがあることを認識するということを心がけましょう。
攻撃や侵入を防ぐ設定をする
IoT端末のリスクを説明してきましたが、セキュリティの観点からパスワードなどの認証機能が用意されていることがほとんどです。なのでこういったパスワードの初期設定などを徹底することを心がけましょう。デフォルトのパスワードのまま使用する人もいますが、非常に危険です。攻撃者はリスク管理の甘い端末を狙いますので、まず使用する前に最低限の設定は済ませておきましょう。
端末を常に最新の状態にしておく
IoTデバイスもパソコンと同様、ファームウェアなどの制御用プログラムが搭載されています。これらのプログラムを最新の状態に保つことは大切です。
セキュリティ機能の向上は常に行われています。パソコンやスマートフォン、アプリなどの端末側で実施するアップデートをすることを意識しましょう。パソコンなどの機器では、普段からアップデートをする習慣があるかもしれませんが、前述の通りIoTデバイスはネットにつながっているという意識が希薄になりやすいため、つい端末側の操作を忘れてしまいます。パソコンやスマホと同じ感覚を持つようにしましょう。
IoTデバイスを利用する必要性を考える
身の回りのモノをインターネットにつなぐことで、その機能を拡張するものがIoTデバイスです。従来まで存在しなかった様々な機能を利用することができ、生活がより豊かになっていきます。
ただIoTデバイスを利用するにあたって、本当にインターネットにつなぐ機能が必要かどうかを考えることも重要です。様々なモノがIoT化していますが、機能の必要性を感じないということもあるでしょう。近年IoTはテクノロジーの領域ではバズワードとなっているので、本質的には必要ないような商品も存在します。
使用する前にはIoTの必要性を考え、身の回りの端末も不要だと感じたらインターネット接続を切っておくと良いでしょう。
IoTはセキュリティ課題があるが、生活を豊かにする力を秘めている
この記事では以下の内容を解説しました。
・IoTセキュリティについての基本知識
・IoT特有の危険性
・IoTデバイスが受ける被害
・IoTのセキュリティ対策
IoTの使用にはセキュリティの対策が必要です。普段の生活に被害がおよび、場合によっては自分の端末がさらなる被害を拡大させる場合もあります。ですが、IoTは私たちの生活を大きく変え、さらに豊かにする可能性を秘めています。IoTデバイスを使用する際には、セキュリティ面に目を向け、安全に使用しましょう。