近年、AIやIoT技術の発展により、データサイエンティストという職業が注目されています。データサイエンティストにあこがれて、これから目指したいと考えている人もいるでしょう。そこで今回は、データサイエンティストの仕事内容を元に、必要なスキルや役立つ資格を紹介します。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストは近年最も注目されている職業の一つです。データサイエンティストに必要なスキルや資格を紹介する前に、まずはデータサイエンティストが具体的にどのような仕事を行う職業なのかお伝えします。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、企業が所持しているビッグデータ(膨大なデータ)を収集し、分析することによって企業にとって重要な情報を導き出し、企業のマーケティング戦略につなげる仕事です。
例えば、ある企業が新しいサービスを立ち上げる時、顧客がどんなサービスや商品を求めているかを把握する必要があります。その際、過去の顧客の消費行動に関するデータを取り出して、分析することで、新しいサービスの内容を導き出すのがデータサイエンティストの仕事といえるでしょう。
データサイエンティストの需要
近年、AIやIoTの急速な発展のため、インターネット上にはあらゆる種類の大量のデータがあふれています。しかしそのほとんどは整理されておらず、活用もされていません。そのため、これらのデータを整理し活用するために、統計学やプログラミングの知識を有したデータサイエンティストの需要が高まっています。
実はアメリカでは、有能なデータサイエンティストが高い報酬でヘッドハンティングされています。つまり、データサイエンスのスキルを身に着けておけば、日本国内だけでなく海外でも活躍できる人材になれるということです。
参考記事:データサイエンティストの需要が高まっている!求められる人物像とは?
データサイエンティストに必要なスキル
では、グローバルに活躍できるデータサイエンティストになるには、どのようなスキルを身に着けると良いのでしょうか。
データサイエンティストは大量のデータを取り扱うため、データ分析や解析の知識が不可欠です。そして、データ分析では統計処理やデータマイニング手法を用いて分析を進めるため、統計学や数学の知識も身に着けておくと良いでしょう。
さらに、多くのデータがデータベース上に格納されているので、データベースに関する知識も必要です。データベースとは整理されたデータの集まりといえるでしょう。データベースを使うことで、大量のデータも整理して貯められ、貴重な情報を抽出し、活用しやすくなります。
また、ビッグデータの取り扱いには機械学習・ディープラーニングを用いることも多いため、これらの処理をプログラムできるプログラミング能力が求められます。AIによく用いられるPythonやRubyなどのプログラミング言語を扱えるように学習しておきましょう。
データサイエンティストに役立つ資格
データサイエンティストとして効率的に業務を行うには、数学やプログラミングなど多くの知識が必要となります。そのため、何から手をつけてよいか悩んでしまう方もいるでしょう。そこで、データサイエンティストの仕事に役立つ資格を紹介します。
情報処理技術者試験
ビッグデータを取り扱うなら人なら欠かせない資格に「情報処理技術者試験」という試験があります。そして、「情報処理技術者試験」の中でもレベルや取り扱う技術に合わせて、複数の試験が用意されています。
例えば、ITを活用するための基本的な知識が欲しいなら、以下の資格を勉強しましょう。試験内容は基本的な知識を問う問題が多いため、初学者におすすめの資格です。
・情報セキュリティマネジメント試験
・ITパスポート試験
また、ITにおいて高度な知識や技能が必要な場合は、以下の資格を勉強しましょう。いずれの資格もIoT、ビッグデータなどの最新技術に関する問題が積極的に出題されます。
・ITストラテジスト試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンペデッドシステムスペシャリスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システム監査技術者試験
・基本情報技術者試験
・応用情報技術者試験
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)試験
データサイエンティストは企業の機密データを取り扱うことも多いため、情報セキュリティに関する知識も不可欠です。そこで、情報セキュリティに関する知識と技能を有することを証明できる「情報処理安全確保支援士」という資格を取得しておきましょう。
そして、試験に合格した後に登録手続きを行うことで国家資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の資格保持者となれるため、データサイエンティストとしての就職・転職にも役立つでしょう。
参考記事:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)はデータサイエンティストに最適な資格?
OSS-DB技術者認定試験
「OSS-DB技術者認定試験」とは、オープンソースデータベース技術者認定試験とも呼ばれており、その名称の通りオープンソースデータベースの技術力を認定するための試験です。
オープンソースデータベースとはOS上で動作するデータベースのことで、多くの企業が利用しています。さらに、複数のプログラミング言語と組み合わせられるため、Webアプリケーションなどで広く普及しているデータベースです。
そのため、「OSS-DB技術者認定試験」の認定資格を取得することで、データサイエンティストとしてスムーズに仕事を進められるでしょう。
また、「OSS-DB技術者認定試験」には、「Silver」と「Gold」の2種類の試験があります。まずはオープンソースデータベースに関して基本的な知識を問う「Silver」を受験し、次に大規模なデータベースの管理・運用にも対応できる知識を問う「Gold」を受験すると良いでしょう。
参考記事:OSS-DB技術者認定試験はデータサイエンティストに必要な資格
オラクルマスター
「オラクルマスター」とは「Oracle」というデータベースに関する技術力を認定するための資格です。オラクルデータベースは日本国内でもトップシェアのデータベースなので、オラクルを取り扱えるとデータサイエンティストとしても業務の幅が広がります。
オラクルマスターの資格試験は難易度によって「ブロンズ」、「シルバー」、「ゴールド」、「プラチナ」の4種類があります。試験は誰でもブロンズから受験する必要があるので、まずはオラクルデータベースの取り扱いに最低限必要な知識を得られるブロンズの学習を進めましょう。
参考記事:データサイエンティストとしてスキルアップするために必要な「オラクルマスター資格」とは?
統計検定
データサイエンティストに必要不可欠な統計に関する知識は、統計検定の資格を取得することで証明できます。そして、統計検定の資格取得に向けて学習することで、データを元に客観的に物事を評価する力や、問題解決能力が身につくため、データサイエンス以外の業務にも役立つこと間違いありません。
統計検定の試験は、難易度や目的により以下の種類に分けられます。また、4級~1級は試験時間が異なれば同日に受験することも可能なので、例えば4級と3級などまとめて学習しておくと良いでしょう。
・統計検定4級~1級
・統計調査士
・専門統計調査士
参考記事:データサイエンティストにとって必要不可欠!?「統計検定」の全貌を解説します!
ディープラーニングジェネラリスト検定・エンジニア検定
データサイエンティストはビッグデータを取り扱うため、ディープラーニングの知識も有している必要があります。そこで、日本ディープラーニング協会のG検定(ジェネラリスト検定)またはE資格(エンジニア資格)を取得しておきましょう。
G検定(ジェネラリスト検定)はディープラーニングの基礎知識を問う試験内容で、自宅にてオンラインで受験できるのも魅力的です。そして、JDLA認定プログラムを修了している人だけが受験できるE資格(エンジニア資格)は実技試験も伴うため、取得しておくことでディープラーニングを扱うエンジニアとしての技能が証明できます。
参考記事:データサイエンティストを目指す人におすすめ!ディープラーニングG検定・E資格
画像処理エンジニア検定
近年、AIによる画像認識技術が注目されています。データサイエンティストが取り扱うデータは文書だけではなく画像も含まれるため、画像処理技術の開発や設計に関する技術も習得すると良いでしょう。
また、「画像処理エンジニア検定」には「ベーシック」と「エキスパート」の2種類の試験が用意されています。「ベーシック」は画像処理技術に関する基礎知識、「エキスパート」は画像信号処理やメディア処理などのより専門的な知識を問う試験です。
参考記事:画像処理エンジニア検定はデータサイエンティストにおすすめの資格
アクチュアリー資格試験
アクチュアリーというのは、保険や金融などの分野で活躍する職業です。そして、統計や確率などの知識を活用して保険や金融の問題を解決するプロフェッショナルとも言えます。これら統計や確率などの手法を用いた問題解決能力は、データサイエンティストにも不可欠です。
そのため、アクチュアリー資格試験に向けて学習を進め、アクチュアリー資格を取得することで、データサイエンティストに必要な数学的にデータを処理する能力や分析力を身に着けられるでしょう。
データサイエンティストの学習方法
それでは、データサイエンティストに必要なスキルの学習方法を紹介します。まずは、上記で紹介した資格をコツコツと学習していくと良いですが、学習範囲がとても広いため、途中で挫折してしまう人も少なくありません。
そのため、最初に学習計画をしっかりと立てて、目標を明確にしておくと良いでしょう。独学の場合は、書籍を購入し学習を進めていきます。この時、書籍だけでは分からない点も多いので、それぞれの資格に関するオンライン講座などを上手く利用しましょう。
また、近年ではデータサイエンスが学べる大学の学部や学科も増えています。大学ではデータサイエンスに関して、データの特性や分析方法、プログラミングの知識まで総合的に学べるので、社会人の方でも聴講生制度を利用して講義を受けてみてはいかがでしょうか。
将来性のあるデータサイエンティストを目指そう
データサイエンティストになるには、幅広い分野のスキルを取得する必要があるので、道のりは決して楽ではありません。しかしながら、データサイエンティストは日本国内外で需要が高く将来性のある仕事です。コツコツと学習を進め、資格を取得しながら、グローバルに活躍できるデータサイエンティストを目指して頑張りましょう。
<参照資料>
情報処理推進機構「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験」
ORACLE MASTER Potal「Oracle Database 12c資格」